症例 夜尿症のD君(14歳)

来訪時の様子

お母さんと並んでぴったりと座っていました。ホメオパスの質問に対してなかなか答えようとしません。答えるときには、お母さんの顔を見て確かめるようにして答えていたのが印象的でした。年齢の割にやや小柄な感じです。

聞き取り

1)中学生になってもまだおねしょが続いている。近々修学旅行に行くので、それが心配。

2)赤ちゃんの時からずっとお母さんにべったりだった。

3)二歳くらいで断乳しようとしたら、ものすごく泣いて反抗した。

4)成長は遅い方だった。歯の生え変わりもの遅かった。

5)幼稚園に行く頃は、やや人見知りだった。

6)人前に出るとお母さんの手をぎゅっと握って離さない。おかあさんのかげに隠れた。

7)いったん泣き出すといつまでも泣き止まない。何をやってもだめ。

8)小さい頃、熱性痙攣(ねっせいけいれん)があった。救急車を呼んだこともある。

9)兄弟(男の子5人)の中では好戦的。とくに三歳年上の兄とはすぐに喧嘩になる。

10)家の外では面倒見がよい。友だちがたくさんいる。

11)怖いものは、お化けと暗いところ。

12)好きな食べ物は甘いもの。嫌いなものはとろろなどネバネバしたもの。

聞き取り後、選んだレメディ プルサティーラ [Pulsatilla]

プルサティーラタイプの子どもは注目を必要とし、やさしく愛情あふれる保護を求めます。女の子だけに合うレメディに思われるかもしれませんが、実際は男の子にもしばしば使われます。このタイプの男の子はとても繊細で穏やかです。優しい庇護を求め、13歳の男の子がお母さんの膝の上に乗ることも珍しくありません。

あたたかさと庇護を必要とすることから、人と仲良く集うことが大好きです。

“居心地がよい”という言葉を好んで使います。

必要な注目が得られれば心地がよく、そういうところで彼らは水を得た魚のように振る舞います。注目と庇護が何にも増して必要なので、それらが得られない場合は孤独感が募って自爆自棄(じぼうじき)になることもあります。

孤独感の強い十代のプルサティーラタイプの子は異性にはけ口を求めようとすることがよくあります。

レメディ投与後の様子

レメディを摂取した直後にのどの痛みや発熱が見られましたが、すぐに治りました。レメディを摂ってからお兄ちゃんと喧嘩することがなくなったようです。

夜間に排尿することが完全になくなったわけではありませんが、頻度はぐんと減りました。修学旅行も大丈夫でした。

まだ夜尿(よばり)が少し続いてるので、二回目も同じプルサティーラを摂ってもらいました。

三回目のセッション時には、D君が一人でやってきました。夜尿の回数もどんどん減って、今ではたまにする程度になりました。いぜんはお兄ちゃんに絡まれたり、学校で友人たちに何か言われるとすごく”ムカついて”すぐに喧嘩になりましたが”もう相手にしない”ようになったと言います。

夜尿症もほとんど治り、一人でセッションに来るなど精神的な成長も見られたので、レメディは出さずにセッション終了にしました。

思春期のお子さんの成長ぶりには目を見張るものがあります。

生命色が非常に旺盛な時期なので、こうした時期にホメオパシーを使うと心身の問題が早く解決されることが多いです。D君もそういうケースのひとつだったと言えるでしょう。